専門医インタビュー
リバヒリの様子
入院期間についてはクリニカルパス(入院診療計画書)を使い、3週間強くらいの入院日数を基本単位としています。ただ、個々の患者さんごとに術後の経過は多少異なりますので、状態に合わせて入院期間が前後することがあります。
リハビリについては、手術後翌日から立ち上がる訓練を行います。これは、術後に起こりやすい血栓予防にも効果的なので、なるべく手術翌日から立ち上がっていただくようにしています。次に、歩行訓練に入り、階段の登り降りが可能になると大抵の動作はできるようになるので、患者さんが自信を持てるようになったら退院という流れになります。両膝同時に人工膝関節置換術を受ける患者さんもいますが、一般的には片膝の場合と同じような入院期間、リハビリの流れで行います。
チーム医療(麻酔科医と手術室スタッフ)
手術の痛みについては、手術中、手術後を含めてコントロールに尽力している医療機関は多いと思います。例えば、手術時には硬膜外麻酔を併用し、手術後に鎮痛剤を用いて痛みをコントロールしています。さらに、アイシングシステムという膝関節を3℃の温度環境に保つ冷却装置があります。この装置を使うことで、炎症や出血、痛みの抑制が可能となります。
スポーツによる調査結果
スポーツに関しては、1999年に米国の関連協会が発表した調査結果があります。これによると、ゴルフやウォーキング、テニスのダブルスなどは行ってもよいスポーツで、サッカーやジョギングなどは避けるべきスポーツとなります。ハイキングや屋外でのサイクリングなどは十分注意して行うべきとされています。人工膝関節置換術というのはアメリカでは主流の治療法として行われていますから、この指標を守っていただくのがいいと思います。
日本人の気質として人工物を体内に入れることに抵抗感のある人は少なくありませんが、痛みをがまんし続けるのは、患者さん自身のためにならないと思います。例えば、動けなくなってしまってから人工膝関節の手術をしても、患者さんの満足度はそう高くないこともあります。がまんしすぎてしまう前に手術を決断すれば、人工膝関節だけでなく骨切り術も選択肢に入ってくる可能性も高いわけです。治療の選択肢を広げるという意味でも、たとえ痛みが少し治まっても早期に整形外科を受診して、どんな治療法があるのかを知ってください。
患者のみなさんには健康を維持しながら、はつらつと歩ける「はつらつ美脚」を目指していただきたいと思います。
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