専門医インタビュー
大阪府
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人工膝関節置換術を行う際、従来は、太ももの骨、すねの骨の周辺を20センチ以上切開していましたが、最近では、医療器具の進歩、医療技術の進歩もあり「MIS(最小侵襲人工関節置換術)」という手術方法で行うことが多くなってきました。MISとは、できるだけ手術時の傷口を小さくし、筋肉を切らないように手術することで、患者さんの負担を少なくする方法です。傷口の大きさは9センチ程度の切開と、従来の約半分以下の大きさで手術を行っています。高い技術を必要とするため、まだできる医師は限られていますが、MISで手術をする病院も増えてきています。
MIS手術後の傷口
皮膚切開は約9センチと従来の半分以下
傷口を小さく手術をする主なメリットは、患者さんの体への負担が少なくなるということです。大きく切開すると、大切な太ももの筋肉も切ることになってしまい、筋肉へのダメージも大きいことからリハビリにも時間がかかってしまいます。 MISで手術をすると、ほとんど太ももの筋肉も傷めずにすみますので、術後のリハビリもスムーズに行えるようになります。
なお、片方だけでなくて両足に悩みを抱えている患者さんも多くいらっしゃいます。施設によっては片足ずつ別日に手術することもありますが、患者さんの負担を考え、当院では必要があれば可能な限り両足を同じ日に手術をするようにしています。特にひどいO脚の方は、両足を一度にするといいのではないでしょうか。このような方がまず片足の手術をした場合、足の長さが変わってしまうことがあります。一度に両足の手術をすることで、そのリスクを抑えられますし、とても歩きやすくなります。
手術を受けて正座する患者さん
太ももの筋力を落とさないことです。筋肉がないと、術後の回復に時間がかかります。ですので、術後だけでなく術前のリハビリも力を入れる必要があります。実は「術後にどれくらい膝が曲がるようになるか?」は、術前の膝の曲がり具合と相関関係があります。では、どれくらい術前に膝が曲がっていたらいいかというと、120度以上が目安です。120度くらい曲がっていれば、術後にその角度以上曲がるようになる可能性が高くなります。
術後に、自分でやりたいと思ったことに取り組むためには、術前にリハビリをして膝の筋肉をきたえ、すこしでも曲がるようにしておくほうが重要です。正座をすることも夢ではないと思いますよ。
手術を行う際の麻酔として、全身麻酔と硬膜外麻酔を使用します。硬膜外麻酔は、手術中の痛みを取りことはもちろん、24時間から48時間と持続して麻酔薬を注入することにより、下半身の感覚を鈍くし、術後の痛みをやわらげるために行います。普通は全身麻酔からさめたら3日間ぐらいは痛みが続きますが、硬膜外麻酔を合わせて使用することで、個人差はありますが、つらく感じることなく過ごすことができます。
また通常は、切開したところは縫い、その後抜糸をする必要がありますが、最近当院では、抜糸不要の特殊な糸を使用して縫合しています。具体的には、皮膚の下を特殊な糸を使って寄せていき、表面を薄い接着剤のようなものでカバーすることで、薄い線のような傷跡しか残りません。とてもキレイに直るので、患者さんにも喜んでもらっています。特に女性にとって、傷口も小さく、傷跡もはっきり残らないのはうれしいのではないでしょうか。また、抜糸をする必要がないので、抜糸の痛みも取り除くことができます。
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