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専門医インタビュー

いつまでも楽しく歩ける生活を! 痛みをがまんせずに、早めの受診を

この記事の専門医

佐野 嘉紀 先生
  • 佐野 嘉紀 先生
  • 重工大須病院 医師
  • 052-212-8981

愛知県

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認定資格等:日本整形外科学会専門医
留学:米国Hedley Orthopaedic Institute

この記事の目次

入院期間や人工関節の手術後の痛みについて教えてください

人工膝関節全置換術後の
レントゲン

入院期間は、膝関節、股関節ともに概ね2~3週間です。膝関節の単顆置換術では、さらに短くなります。ただ、高齢の方や、稀に股関節と膝関節をすべて人工関節に置換される方もいるのですが、そのような長期のリハビリが必要な場合は、リハビリ専門病院に転院していただいたり、通院リハビリを行っている整形外科を紹介するなどして、リハビリを続けていただいています。手術後の痛みのコントロールは、かなり進歩していると思います。全身麻酔に加え、膝関節内へのブロック注射やカクテル療法、鎮痛剤の服用など複数の手法を使って、手術後、なるべく痛みがないようにコントロールが行われています。さらに、膝関節内への止血剤注入によってできるだけ出血を抑え、ドレーンというチューブを入れて関節内に血液が溜まるのを防ぐことで術後の腫れを抑えるという処置を行っています。これは、厳密には痛み止めではありませんが、患部の腫れが少なければ少ないほど、術後、痛みを訴える方が少ないという印象があるため行っています。

リハビリの内容や、退院後に注意することはありますか?

手術翌日から、まず立つ訓練、膝の曲げ伸ばしのトレーニングから始めます。血栓予防の観点から、手術直後から積極的に足を動かすことが大切です。その後、平行棒や歩行器を使用しながら歩く練習をし、ある程度、落ち着いてきたら杖を使っての歩行や階段の登り降りを行います。リハビリ後は、関節が炎症を起こして腫れやすいので、リハビリ後は冷やすということをしながら、続けてもらっています。退院後は、体が直接ぶつかり合うようなコンタクトスポーツは、人工関節の破損につながるので避けたほうがいいでしょう。ゴルフなどの軽いスポーツでしたら、特に制限なくできることが多いと思います。私の患者さんの中には、人工関節にして、年に2~3回海外旅行を楽しんでいるという方が結構いらっしゃいます。人工関節も破損や細菌感染などが起こると、再置換といって入れ直す必要が出てきますので、それらの点は注意が必要だと思います。

膝や股関節の痛みに悩んでいる方にメッセージをお願いいたします。

佐野 嘉紀 先生

膝や股関節も、痛みがあるときは我慢せずに、早めに整形外科を受診することをおすすめします。痛みがあるからといって、手術を無理に勧めることはまずありません。患者さんの立場で考えてみても、できれば手術は受けたくないという気持ちはあると思います。しかし、それでも膝や股関節の痛みで日常生活が困難になってしまったら手術が必要です。手術が怖いからといって先延ばしにして、治療の選択肢を狭めてしまうのももったいない話です。手術に関する知識を増やして、良いタイミングで適切な治療を受けていただきただきたいと考えています。また、不安なことがあれば信頼できる先生にどんどん質問をして、楽しく歩ける生活を手に入れてください。


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