専門医インタビュー
奈良県
プロフィールを見る
リハビリセンター
人工股関節置換術は、脱臼が起こらないように工夫をしていますので、動きに制限はありません。術前に正座のできた人は術後も大丈夫で、和式トイレでしゃがむのも問題ありません。外出先では洋式トイレばかりではありませんから、みなさん安心だと喜んでいらっしゃいます。車の運転ももちろん構いません。ダンスのインストラクターの患者さんは、今ではY字バランスも軽々とこなしていますよ。またゴルフや水泳といったスポーツも楽しんでいただいている人もいます。登山も、そんなに高い山でなければ問題ありません。海外旅行を楽しんでいる人も大勢いらっしゃいます。
しいていえば、階段から飛び降りるようなことはやめていただきたいですね。一段であっても二段であっても、強い衝撃が加わるのは人工関節にとっていいことではありませんので、気を付けてください。また、ゴルフ場で急な斜面に打ち込んでしまった場合は、足場が安定せず転倒の危険もありますので、打つのはあきらめるようにといっています。
三次元動作解析のセンサーで歩行、モニター
画面
術後に患者さんたちがどのような歩き方をしているのかを解析しています。患者さんにセンサーを付けて、下肢がどのように動いているかを術前と比較したり、各関節の動きを細かく分析することも可能です。また、歩行時の足裏の軌跡をモニターに出して、足の運び方や、かかとを着いた後、どういう風に重心が移動していくかを100分の1秒単位で映し出すこともできます。
人の動きは目でいくら観察しても分析はできません。分析するためには数値化することが必要です。患者さんが満足する歩き方、美しい歩き方とはどのような動きなのかを解明するのが、三次元動作解析の目的です。こういった装置を使うと、患者さん自身も客観的・視覚的に自分の動きの変化が見られるので、「美しい歩き方になった」「手術を受けて良かった」と実感されるようです。
まずは、正確な診断を早くつけてもらうことが大切です。腰やお尻、太ももなどに痛みを感じたり、違和感を覚えた時は、「股関節が原因かも」ということを頭の片隅に置いておいてください。「靴下がはきにくくなった」「立ち上がる時に少し痛い」といった程度でも、専門医を受診してみてください。初期であれば筋力トレーニングだけで症状が改善することも可能です。
進行して強い痛みや変形のある変形性股関節症には、人工股関節置換術が適応となる場合がありますが、むやみに怖がる必要はありません。痛みのない生活を取り戻し、活動範囲の広がった患者さんがたくさんおられます。ただし、決めるのは患者さん自身です。自分の望む生活スタイルや活動量を考慮して、手術を検討するといいでしょう。
治療の適切なタイミングを逃さないためにも、専門医とよく相談することをお勧めします。
ページの先頭へもどる
PageTop