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専門医インタビュー

人工股関節置換術は医師と患者との合作 信頼できる医師とじっくり相談を!!

この記事の専門医

大嶋 浩文 先生

東京都

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2004年 弘前大学医学部卒業、JR東京総合病院、心身障害児総合医療療育センター、東京都立広尾病院、東京逓信病院、東京大学医学部附属病院での経験を経て現職に。
資格:日本専門医機構認定整形外科専門医、日本整形外科学会認定運動器リハビリテーション医、日本整形外科学会認定リウマチ医、日本体育協会認定スポーツドクター

この記事の目次

日常生活でどのくらい困っているか?

人工股関節の一例

人工股関節の一例

残念ながら進行してしまった変形性股関節症には、人工股関節置換術が有効な治療法になります。
手術のタイミングは、患者さんそれぞれによって違います。一つの基準は、日常生活でどのくらい困っているかです。それが痛みの場合もあるでしょうし、股関節の可動性、動きが悪い場合もあるでしょう。特に、股関節をかばうことで腰や膝など別の関節に痛みが出ている場合は、積極的に股関節の治療を考える必要があると思います。
痛みは自覚症状ですから、患者さんが感じている痛みの程度は、本当のところは医師にはわかりません。かなり痛そうでも、日常生活が問題なくできているとおっしゃる方もいれば、普通に歩いて病院に来る方でも耐えがたい痛みだと言って、人工股関節を希望する方もいます。一人ひとり痛みの感じかたは違いますし、生活様式も異なりますから、私は、目の前の患者さんの状況を可能な範囲で把握し、適切なタイミングで手術を行えるように心がけています。

人工股関節置換術について詳しく教えて下さい?

人工股関節置換術後のレントゲン

人工股関節置換術後のレントゲン

人工股関節置換術は、現在行われている医療行為の中で、最も素晴らしい結果が出る治療のひとつです。「Forgotten Hip」と呼ばれ、手術したことをすっかり忘れて、普通の生活ができる状況になるのが究極の目標であり、実際に多くの患者さんがこの領域に達しています。
手術は、傷んでいる股関節の表面をきれいに削って、専用の器械で大腿骨と骨盤に人工関節を設置します。人工のものを骨にしっかり固定しますが、少し時間が経ってくると、骨折した後に骨が再生していくのと同じように、凸凹の金属の表面に自分の骨がなじんでいきます。
人工股関節や手術に使う機械類は性能、質が以前よりも格段に良くなっています。
これまで人工股関節は10年、15年が限界だと言われてきました。しかし現在では、私も大学病院で研究・開発・普及に携わってきた長期耐用性が期待できる人工関節が使えるようになっているので、適応は若年の方にも広がってきています。
一方で、手術はもちろん一定のリスクを伴います。神経血管の損傷、細菌感染、脱臼、深部静脈血栓症・肺塞栓症などが代表的です。手術に絶対はありませんが、これら偶発的な合併症を起こさないよう、最大限留意することはできます。人工股関節置換術は、安全にそして確実に遂行することがたいへん重要で、そのためにできる検査、準備は全て行います。

できるだけ組織を傷つけないことが大切だと聞きますが?

MIS手術とは、皮膚切開が小さいことだけを意味するわけではありません。手術の傷が小さくても、筋肉や関節周囲の組織を傷付けてしまっては本末転倒です。術後の痛みの程度や回復の速度に関しても同様のことがいえます。私も、極力小さな傷で手術ができるよう工夫していますが、そこにはこだわり過ぎず、その先にある組織を大切にする手術が真のMIS手術であると考えています。
それを可能にするのは言うまでもなく高度な技術ですから、より良質な手術となるよう私たち専門医は日々精進しています。
私は後方からのアプローチで行っていますが、人工股関節の手術は、その医師が得意で自信のある方法で行うことが大事。もちろん今の手術が完成形ではありませんから、どんどん新しいものも取り入れてよりよい手術を目指して行っています。
手術の前には、レントゲンだけでなくCTやMRIを撮って、画像をコンピュータで処理をし、術前計画を十分に行います。患者さんの股関節の状態に合わせて、ミリ単位でサイズが決まってきます。どこからどの角度で挿入し、どこに設置すればいいか、脚の長さや、可動域も十分に考えて手術をしていますから、脱臼や緩みは大幅に軽減し、より満足度の高い結果が得られています。


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