専門医インタビュー
セメントを使用しない人工股関節の術後
レントゲン、傾いた状態でもピッタリ
フィットしています。
術後は歩く練習から始まって徐々に強度を上げたリハビリを行います。階段の上り下りの練習、入浴の訓練など、患者さんそれぞれの日常環境は違うので、リハビリ専門の先生は各家庭の風呂桶の高さまで計算に入れて、個人に合った訓練を指導しています。
家に戻ってから普通に生活できるか、患者さんに自信ができたら退院です。手術前の状態にもよりますが、基本的には2~3週間ほどで退院していきます。よく聞かれるのですが、退院後にリハビリ通院は不要です。日常生活を行っていくことで自然と自信が深まります。
変形性股関節症のために足があまり動かなかった人が、人工股関節にすると今まで使っていなかった筋肉を使うことになるので、初めは違和感や疲労感があることもありますが次第に慣れてきます。
術後は日常生活を普通に行って頂きたいのですが、高いところから飛び降りるなど股関節に極端に負担になる激しい運動などは避けるようにお話しています。術後3カ月を過ぎたころには、ご自身の身体に人工関節が随分馴染んでくるようです。皆さんの顔にも自信がみなぎっていて大変頼もしく思えます。
人工股関節は入れたら終わりではありません。手術後も定期的に受診してもらい、患者さんの個別のライフタイルに合わせて、状態をチェックしていきます。具体的には術後1か月、3か月、半年、それ以降は1年ごとに来院して頂いています。
診察に並行して必ず骨質のフォローを行います。患者さんにはよく、できれば日中に外出して日光を浴びてくださいといってます。日の光は骨代謝にも影響します。人工関節を支えている骨は人体の組織なので代謝といって常に新しく作られ、壊されて活動しています。骨粗鬆症は人工関節の大敵です。骨密度を下げないように、食事もバランスのいい食生活を心がけてください。特別に牛乳をたくさん飲んだりサプリメントを過剰に取ったりすることは必要ありません。健康的な食事と適度な運動ができていればいいのです。運動で特に勧めているのが体幹トレーニング、手術前から体幹を鍛える簡単な運動を指導して続けてもらいます。人工関節の手術をうけたら、無理な運動はしなくてもいいのですが、お尻の筋肉を落とさないように、下半身の筋肉を鍛えるためにも歩きましょう。
手術を受ける患者さんの年齢が高齢化
人工股関節全置換術は、手術を受ける患者さんの年齢が高齢化しているのが最近の特徴です。お年寄りの概念が今までとは全く違い、アクティブな人が多くなっています。経済的にも裕福です、趣味に旅行に自分の人生を楽しく有意義に過ごそうとしている人がたくさんいらっしゃいます。そんな時に、股関節が痛くて動けないというのではあまりにも悲しいではありませんか。
股関節の痛みのためにやりたいこともできず、我慢して家の中に閉じこもっているのなら、もう一度、専門医に話をしてみませんか。股関節の状態に合わせて、今何をしたらいいのか、いくつかの選択肢を提案することができます。人工股関節置換術もその中の一つの方法です。急ぐことはありません。股関節疾患に対するアプローチは色々あります。当院では統合的に治療方法を模索して、患者さんと一緒にそれを選択する姿勢を大事に考えて診療にあたっています。人工関節をはじめ治療方法の選択肢を沢山もっていることが我々に必要な資質とも考えております。股関節疾患でお悩みの方は股関節外科医に是非相談してください。
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