専門医インタビュー
手術前には必ず心臓機能の検査や呼吸機能、血液検査などを行います。手術までにそれぞれの内科的治療が優先されることもあります。持病のコントロールをしながら手術に備えることになります。
手術の前にあらかじめ自己血を取っておく場合もありますが、手術時の出血を少なくする工夫をしていますから、輸血が必要になるようなケースはとても少ないです。
人工膝関節置換術で気を付けたいのが合併症、中でも感染です。特に、糖尿病があると感染に弱いので、血糖値のコントロールが悪い時は手術できません。内科医と連携を取りながら、手術は血糖値が安定している時期に行いま
す。
手術後に、じっと横になって安静にしているようなことはしないでくださいと、患者さんに話しています。2日後から、リハビリ室で歩行器を使って歩く練習を始めます。毎日リハビリを重ね、自立して歩ける状態、誰かが見守っていなくても危なげなく動くことができ、階段の上り下りもできるようになったら退院です。
全置換術の場合は3週間、部分置換術なら2週間というのが、平均的な入院期間になります。手術後のリハビリは非常に大事です。しっかりゆっくり、リハビリをして帰ってもらいます。
当院のリハビリ室には、理学療法士と作業療法士の資格を持つスタッフが常駐していますので、患者さん一人ひとりの状態や住まい環境に合わせて、必要な動きができるように指導しています。
リハビリ室
退院後は週に2回ほど、リハビリ室でリハビリ指導を受け、定期的に担当医の外来を受診してもらいます。膝の曲がり具合はどうか、どの程度伸びているか、筋力はどうか、階段をどの程度上り下りできているかなどをチェック。その後も半年ぐらいはリハビリ室でのリハビリを続けます。
リハビリが終了した後は半年に一度、定期的にレントゲンを撮るなどの医師のチェックを受けることが、大事です。
執刀医とは一生のお付き合いになります。患者さんの元気な姿を是非見せて下さい。
一人で悩まないで、専門医に相談を健康寿命のためにも自分の足で歩こう
痛みを我慢して我慢して、迷って、悩んで思い切って手術したけれど、「もっと早く、人工膝関節にすればよかった」と、おっしゃる方もいます。人工膝関節は、90%以上が20年以上経っても問題なく機能するといわれています。どんな人にでも「手術すればいい」と勧めるわけではありませんが、まず専門医に相談してほしいですね。
今、言われているのが、健康寿命を延ばすことです。自分の足で歩くことができる期間を、できるだけ長く保つようにするのが大事なのです。人工膝関節はまさに健康寿命を延ばすためのものだと思います。
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