専門医インタビュー
鹿児島県
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女性に多く見られる『外反母趾』は、悪化すると歩くことが困難になり、日常生活に支障をきたすほど深刻な状況を招くことがあります。そうなる前に、少しでも早い段階で受診・治療を開始することが大切です。外反母趾の原因や治療法について、中川整形外科の中川悟先生にお話を伺いました。
外反母趾は母趾の付け根の骨(中足骨・ちゅうそくこつ)が内側に突き出て母趾が外側に向く足の変形です。変形した親指の付け根が靴に当たって赤く腫れ、足の裏に胼胝(べんち・俗にいう「タコ」や「魚の目」)もできます。
特に足の人差し指(示趾・じし)の付け根の裏に胼胝があれば外反母趾が強く関与しています。男女比は1対9といわれ、女性に非常に多い疾患です。発症の頻度は軽症も含めると成年女性の約10%になります。それは、男性と比べて関節が軟らかいことが原因の一つと考えられます。
足は、3つのアーチ状に骨が並んでいることで安定性を保っています。縦にアーチを描いて支えている「外側縦アーチ」と「内側縦アーチ」、足先で横にアーチを成している「前足部アーチ」です。女性は靭帯の強度が弱くこれらのアーチの形が壊れやすく、バランスが崩れてしまうことで外反母趾が進行しやすくなるといわれています。ちなみに扁平足というのは、内側縦アーチのみがつぶれた状態を指します。また前足部アーチが崩れた状態を開張足(かいちょうそく)と呼びます。
外反母趾の多くは、先天的な素質が原因と考えられています。子どもの頃は軽度の変形があっても運動靴を履くので痛みはほとんどなく、なかなか見つかりません。身長が150cmを過ぎて、足のサイズが20cmを超え、生理が始まる頃に急速に変形が強くなる傾向があります。革靴を履き始めるので症状も発現しやすくなり、年齢を重ねて行くうちに変形は悪化していきます。
原因の一つとして遺伝が考えられます。例えば、女子中学生で外反母趾の患者さんはお母さんやおばあさんも外反母趾であることが多くあります。そのため、患者さんのお母さんや娘さんについても足の変形がないか確認したり、検診を勧めたりすることがあります。それ以外の原因としては、ハイヒールのような履物が外反母趾を悪化させることが考えられます。
足裏の胼胝
母趾の付け根に痛みや腫れがあったり、足の裏に胼胝がみられたりする場合は、早めに整形外科に相談されることをおすすめします。原因を特定することで、幅広い治療選択肢からご自身に合った治療を選んでいくことができるからです。
診察では、まず問診で「どのような症状がどのくらい続いているか」「家族に外反母趾の人がいないか」などを聞いていきます。次に、扁平足などの足の変形がないかを確認します。また、レントゲン検査やCT検査による画像診断を受けることで、外反母趾の度合いを詳細に知ることができます。さらに血液検査により、関節リウマチや強直(ごうちょく)母趾、痛風といった外反母趾以外の疾病が隠れていないか、併せて確認します。
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