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専門医インタビュー

最期まで、元気に自分の脚で動けるように。それを助けるのが人工関節です。

福井県

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日本整形外科学会認定医、日本体育協会公認スポーツドクター、日本リウマチ財団リウマチ登録医、医学博士(H10年6月 自治医科大学)、日本膝関節学会、関節鏡学会、日本人工関節学会、日本手の外科学会などに加盟

この記事の目次

膝が痛くて動きづらい、そんな症状に悩まされる高齢者の方は多いのではないでしょうか?高齢者の膝の痛みの原因としては、半月板の損傷、骨壊死、関節リウマチ、偽痛風など、様々考えられるのですが、中でも多いのが変形性膝関節症です。現在、日本で変形性膝関節症を患っている人はおよそ2000万人、そのうち整形外科を受診して適切な治療を受けている人は4万人程度といわれています。「膝の痛みの原因を正しく診断し適切な時期に適切な対応をしていれば、深刻な状態にまで進行するのを防ぐことができるはず」と話す、越前町国民健康保険 織田病院の津向伸哉先生に話を聞きました。

変形性膝関節症とはどのような病気ですか?

変形性膝関節症は、クッションの役割をしている関節軟骨や半月板などがすり減って引き起こされます

長い距離を歩くと膝が痛くなる、立ったり座ったりするときに痛い、階段の昇り降り、特に降りるときに痛む、膝の曲げ伸ばしがつらいというのが、変形性膝関節症の代表的な症状です。関節リウマチや骨壊死の場合は、安静時や夜間に痛みますが、変形性膝関節症の場合は、動いていると痛くなるのが特徴です。このような症状は、老化により、膝関節の“クッション”になっている部分がすり減ってしまうために引き起こされます。歳をとったために、関節の軟骨や半月板などが変形したり、傷んできたりするのが主な原因です。
ただ、老化による変形は誰にでも生じることですが、変形したら必ず痛くなるわけではありません。症状が出ない人もいますし、支障の程度には個人差があります。老化に伴い、遺伝的な体質と環境素因が加わって症状が現れるのだと思います。長年、膝に負担をかけるような動作を続けてきた人が、歳をとってから膝に大きな負担がかかった際に、痛くなる傾向があります。また、変形性膝関節症の患者さんは圧倒的に女性が多く、中でも、もともとO脚気味の人が歳をとるにつれて発症しやすいといえるでしょう。変形性膝関節症の診断は、症状のつらさとレントゲンによる画像所見が決め手になります。

変形性膝関節症の治療法を教えてください。

治療法は、症状の程度によって異なります。症状がまだ初期の場合、まずヒアルロン酸の関節内注射を行います。さらに痛みのある箇所の負担を軽減するために、足底板(インソール)を使用し、膝の内側にばかり体重がかかってしまうのを矯正することも有効です。また、筋力強化訓練も大切です。膝の上部にあたる大腿四頭筋を鍛える体操を毎日続けてもらいます。その他、湿布をするなどして自分で痛みを抑えることもあります。初期の段階の場合は、このような保存療法を続けていくことで、ほとんどの人が痛みをコントロールすることができますし、日常生活に支障がないのなら、変形性膝関節症を恐れることはありません。
しかし、症状が進行して痛みが我慢できなくなり、動きの制限が広がると手術を考える必要がでてきます。手術には、「高位脛骨骨切り術」や「人工膝関節置換術」などがあります。高位脛骨骨切り術は、骨を削りO脚を矯正して膝の内側にかかる負担を減らし痛みを軽減させる方法です。症状が進行期で患者さんの年齢が比較的若い場合は、この骨切り術を行うのが普通です。ただ症状がかなり悪化しており患者さんが高齢の場合は、人工膝関節置換術を行います。

軟骨や関節液に含まれるヒアルロン酸を注射で補充します

(1)薬物療法
ヒアルロン酸やステロイドなどを膝関節内に注射して、関節の動きを良くします。また、湿布や鎮痛剤などを内服して痛みを抑えます

(2)装具療法
靴の中に足底板(インソール)を入れ、脚を外側から内側に傾けて関節の内側の荷重を減らします。また、サポーターのような装具を膝に付け、関節を安定させて痛みを軽減します

(3)運動療法
膝の上部にあたる大腿四頭筋などを鍛えます


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