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専門医インタビュー

股関節の治療法はさまざまです これからの生き方を考え納得できる治療選択を

伊藤 雅之 先生
  • 伊藤 雅之 先生
  • 福島県立医科大学 外傷再建学講座 主任教授
  • 024-547-1111

福島県

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2004年10月に発生した新潟県中越地震で、24時間不眠不休で外傷(ケガ)患者の治療にあたる。
資格:医学博士、日本整形外科学会整形外科専門医、股関節鏡技術認定医
所属学会:日本整形外科学会、東北整形災害外科学会、救急医学会、外傷学会、骨折治療学会(評議員)、日本股関節学会、人工関節学会、救急整形外傷シンポジウム(世話人)、日本CAOS(日本コンピュータ支援手術研究会)(世話人)、日本足の外科学会、SICOT(ヨーロッパ整形災害外科)、AOS(アメリカ整形学会)、AANA(北アメリカ関節鏡学会)

この記事の目次

股関節が痛む大半の原因は変形性股関節症です。しかし、知らず知らずのうちに起こる骨折や靭帯の損傷が股関節の痛みの原因になっていることもあります。交通事故などによる重度の外傷(ケガ)の治療と再建(機能回復)にも取り組む、伊藤雅之先生に、股関節の痛みの原因や診断方法、治療法についてうかがいました。

股関節が痛む原因にはどのようなものがあるのですか?

股関節の構造

股関節は、ボール状の大腿骨頭(だいたいこっとう)が、お椀の形をした骨盤の寛骨臼(かんこつきゅう)にはまり込む構造になっています。大腿骨頭と寛骨臼は靭帯で結ばれ、それぞれの骨の表面は軟骨で覆われています。寛骨臼のフチには、大腿骨頭が簡単に外れることがないよう、股関節唇(こかんせつしん)という軟骨に似た軟部組織が支えています。
股関節の痛みには様々な原因がありますが、外傷の患者さんを診ることが多いので、股関節の痛みというと骨盤周りの骨折に遭遇することが多くあります。もちろん、股関節の痛みは骨折だけでなく、股関節を構成している靭帯、軟骨、筋肉を関節軟骨含めていろいろな原因が考えられます。
疾患として多いのは変形性股関節症ですが、そのほかにも、股関節唇(こかんせつしん)損傷や大腿骨頭壊死(だいたいこっとうえし)症、急速破壊型股関節症などが考えられます。レントゲン検査だけでは異常が見つけにくく、CTやMRI検査などが必要な場合もありますので、股関節に痛みや違和感がある場合、まずは専門医に相談しましょう。

変形性股関節症について教えてください

変形性股関節症は、股関節にあるクッションの役目をする軟骨がすり減り、骨同士がぶつかり合うことで骨が変形し痛みが生じます。軟骨がすり減る原因として、軟骨の劣化が考えられますが、老化だけでなく、図のように股関節のかぶりが浅い「寛骨臼(かんこつきゅう)形成不全」、股関節の形態異常の「股関節インピンジメント」(FAI=femoroacetabular impingement)も変形性股関節症の原因になります。こうした疾患が股関節唇損傷を引き起こし、軟骨剥離をともなって、股関節の変形が進行するともいわれています。

変形性股関症

変形性股関症

寛骨臼形成不全

寛骨臼形成不全

股関節インピンジメント(FAI)

股関節インピンジメント
(FAI)

股関節唇損傷とはどのような疾病なのでしょうか?

股関節唇損傷は最近注目されている疾病で、サッカーやハンドボールなど、股関節に強い負荷がかかるスポーツ選手に多く見られます。スポーツ選手だけでなく、一般の方でも開脚を繰り返すなど特別な運動やライフスタイルが原因で股関節唇を傷めてしまうことがあります。股関節唇は、軟骨に似た組織でできているので、レントゲンでは確認しにくく、股関節唇損傷が疑われる場合はMRI検査を行います。MRI検査は時間がかかる検査で予約制です。通常3-4週間待ちますので、最近では、その場でエコー検査を行って、股関節に水がたまっていないか判断し、注射などの治療もしています。こうした保存療法でも良くならない場合、主に股関節鏡という内視鏡を用いた手術をして修復をしています。

エコー検査に写った股関節

エコー検査に写った股関節

正常な足指とハンマートウ

股関節唇損傷


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