股関節の痛み、膝や腰にも異常が出る前に専門医に相談を　治療方法が進歩しています

人工股関節の手術を受ける大半の原因は変形性股関節症なのですか?

寛骨臼形成不全

中高年の方が股関節に痛みを感じる代表的な病気は、変形性股関節症です。
股関節の軟骨がすり減ることで起こる病気で、人工股関節の手術を受ける大半の患者さんがこの病気です。股関節の骨盤側の受け皿の部分が浅い寛骨臼形成不全（かんこつきゅうけいせいふぜん）や、赤ちゃんの時に股関節が脱臼する先天性股関節脱臼のある方は軟骨がすり減りやすくなります。中年以降に痛みが出ることがありますが、早い方では50歳ぐらいで軟骨が完全にすり切れてしまい手術が必要な状態になることがあります。
しかし、先天的な骨の形の変化がない方でも、70歳くらいを過ぎてから急に変形性股関節症になる方が最近増えており、そのような方は痛みが強く、すぐに手術が必要になる場合が多くあります。

大腿骨頭壊死症とはどのような病気なのですか?

大腿骨頭壊死症

股関節の中心にある大腿骨頭（だいたいこっとう）部分の骨の細胞が死んでしまい（壊死：えし）、つぶれることで強い痛みを生じる大腿骨頭壊死症になることがあります。お酒の飲み過ぎや、ステロイドホルモンの使用が関係あると言われ、働き盛りの男性や若い女性に発症することがあります。壊死の範囲が小さければ、経過観察や大腿骨頭の骨（こつ）切り術を行い壊死のないところで体重を支えるようにしますが、骨頭の破壊が進めば人工股関節の手術が必要になることがあります。
変形性股関節症や大腿骨頭壊死症だけでなく、股関節が痛くなる原因は様々あります。股関節が痛むと、姿勢が悪くなったり、立ったりしゃがんだりすることも不自由になり、また腰痛の原因になることもなります。股関節に痛みを感じたら、早めに股関節の専門医に相談するようにしましょう。

変形性股関節症の治療法について教えてください

痛みが軽いうちは痛み止めの使用や、股関節に体重がかからないような水泳や水中歩行などの筋力トレーニング、体重コントロールといった保存療法（手術をしない治療）を行います。しかし、保存療法を続けても症状の改善がみられない場合、買い物などの日常生活や、スポーツなどのレクリエーションに支障がでることがあります。また、股関節が悪くなると股関節だけでなく、腰や反対側の膝まで悪くなってくることがあり、身体がかなり揺れて歩いている方は注意が必要です。股関節の痛みのせいで、色々なことに支障が出たり、股関節以外の場所が悪くなったりする前に手術を考えてみても良いと思います。
代表的な手術には骨切り術と人工股関節置換術があります。軟骨の摩り減りが少ない初期の段階であれば自分の骨を利用した骨切り手術で痛みが軽減することがありますが、末期の状態になると痛みやこわばりが強くなり、人工股関節手術が必要になります。

骨切り術