専門医インタビュー
京都府
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肩の痛みが原因で、腕や肩が挙がらなくても仕方ないと諦めている方がまだまだ多いようです。しかし、これまで治療が困難だと言われていた状態でも、治療方法が進歩し、治療を受けることで腕や肩を挙げられるようになっています。洛和会丸太町病院 古川龍平先生に、肩が痛くなる原因や、治療が困難だと言われてきた腱板断裂に対するさまざまな手術方法について詳しく教えていただきました。
肩関節周囲炎
肩が痛い、腕を挙げられないと訴え受診される患者さんは、肩関節周囲炎、いわゆる五十肩が多いと思います。肩関節周囲炎の患者さんは、じっとしていても肩が痛い、肩が挙がらないと様々な症状を訴えられますが経過(病期)によって症状や治療法が異なります。炎症が強く痛みが出ている炎症期の場合は、消炎鎮痛剤などを使って痛みを抑える治療を行います。また、痛みは抑えられたけれども、肩の動きが固まり制限されて、腕が挙がらないという拘縮期では、リハビリテーションが必要になります。ただし、拘縮の程度は人それぞれなので、きちんと状態を見極め、適切な治療法を提案することが大切だと思います。
肩関節周囲炎と思っていても、詳しく調べると腱板損傷や上腕二頭筋長頭腱炎などレントゲンでは確認できない他の疾患が隠れていることがあります。そのため、超音波(エコー)やMRIで肩関節の状態を詳しく確認するなど、痛みの原因が何かを正確に診断することが大切です。
腱板断裂
肩関節は上腕骨と肩甲骨から構成されていますが、腱板と呼ばれる大事な4つの筋肉によってつながり、肩をスムーズに動かせるようになっています。この腱板が断裂すると筋肉の力を十分に伝えられないので、腕を挙げる時に「力が入らない」、「ジョリジョリ」とこすれるような音がする、「痛みが出る」といった症状が現れることがあります。
若い方の場合、交通事故などの外傷やお仕事などで重たいものを持つなど急激な負担がかかることで腱板が断裂することがあります。一方、中高年の場合、大きな外傷がなくても加齢性変化によって少しずつ腱板が損傷し、50歳以上の4人に1人は腱板断裂を発症していると言われています。腱板が断裂していてもある程度の日常生活を行えますが、断裂が進行することで急に腕が挙がらなくなったり、関節症性変化(腱板断裂性関節症)を認めるケースがよくみられます。多くの方が、肩の痛みや動きが悪いのは五十肩と思い、腱板断裂を見過ごされていることがあるので注意が必要です。
肩をぶつけた、こけたなど外傷によって肩に痛みが出る場合は、骨折や脱臼の可能性があるので、すぐに受診したほうが良いと思います。しかし、はっきりした外傷がなく痛みが出る場合は、五十肩などが原因として考えられますので、まずは安静にしていただき、ストレッチなどを行い、様子をみていただいても良いと思います。しかし、それでも痛みが改善しないようであれば、整形外科を受診して、きちんと痛みの原因を知り、このまま放って置いても大丈夫なのか、治療を受けたほうが良いのかを知っていただくことが大切だと思います。整形外科の中には、肩や膝、股関節など様々な分野の専門医がおられますので、肩の痛みの原因がはっきしりない場合は、肩の専門医を受診したほうが良いと思います。
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