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専門医インタビュー

ひざの痛み 受診と治療のタイミングを逃さず適切な治療選択を

平出 周 先生
  • 平出 周 先生
  • 牧田総合病院 副院長
  • 03-6428-7500

東京都

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東京慈恵会医科大学医学部卒業
認定資格:日本整形外科学会専門医、日本手外科学会認定手外科専門医
所属学会:日本整形外科学会、日本手外科学会、東日本手外科研究会

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この記事の目次

 
高齢化社会に伴い膝の痛みに悩む方が増えています。中高年の方に多い変形性膝関節症は進行性の疾患です。適切な治療を選択するためには、まずはご自分の膝の状態を知ることが大切です。牧田総合病院の平出先生に受診のタイミングや治療法についてうかがいました。
 

高齢の方の場合、膝が痛くなる疾患とその原因は何ですか?

軟骨がすり減り炎症した膝

軟骨がすり減り炎症した膝

正常な膝

正常な膝

高齢者の膝の痛みの原因で多い疾患は「変形性膝関節症」(へんけいせいひざかんせつしょう)です。国内では約3000万人にのぼり、そのうち痛みなどの症状を感じている方は約1000万人といわれています。壮年期以降の関節の痛みで最も多く、その原因は関節軟骨の老化によるものが多くを占めます。ほかにも肥満や素因(遺伝子)も関与しているといわれています。日本人はO脚の方が多いので、膝の内側の軟骨がすり減ることで痛みが出ます。初期では立ち上がり、歩き始めなどに痛みがありますが、休むと痛みがなくなります。しかし、徐々に正座や階段の昇降が困難となり、末期になると安静時にも痛みが続くようになります。

膝関節が痛むときに受診するタイミングについて教えてください

膝の痛み

痛みがあるようでしたら一度整形外科に受診することをおすすめします。痛みの原因が本当に膝であるのかというのもしっかり診断することが必要です。じつは腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)などの症状から膝周囲の痛みが出ていることがあり、別の病気が隠れていることがあります。何事も早期であれば予防を念頭においた治療を重点的に行うので、運動療法や生活指導などで症状が改善することがあります。早期に診断することで治療の選択肢が増え、予防して進行を遅らせることもできるので、まずはご自分の関節の状態を精査したほうが良いと思います。末期の場合でも、最終的には手術を考えますが様々な治療を組み合わせて、患者さんの希望に沿った治療を行うことも可能です。

変形性膝関節症以外で代表的な膝の痛みのある疾患と治療方法について教えてください

外側半月板と内側半月板

変形性膝関節症のほかには大腿骨内顆骨壊死(だいたいこつないかこつえし)や半月板損傷などがあります。大腿骨内顆骨壊死の場合は、太ももの骨(大腿骨=だいたいこつ)の内側の部分が壊死を起こすことで突然痛みが起こります。60代の女性に比較的多く、明確な原因はまだ分かっていませんが血流が悪くなることが要因の一つといわれています。発症したときは激しい痛みがありますが、しばらく経つと痛みが和らぐこともあります。
半月板損傷は、関節の中で膝を安定して曲げ伸ばしするために必要な半月板という組織が傷んでしまう疾患です。とくに内側の損傷が多いです。原因としては、加齢による変性のほか、スポーツによる外傷も少なくありません。主な症状として、痛みに加えて膝を動かすと引っかかるような違和感があるのが特徴です。
整形外科に受診すると問診などで痛みの状態をお伺いし、触診で関節の曲げ伸ばし、腫れがないか確認します。さらに画像診断を行いますが、大腿骨内顆骨壊死や半月板損傷はレントゲンでは異常が分かりにくく、MRIで関節の状態を詳しく検査することが大切です。


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