専門医インタビュー
京都府
プロフィールを見る
股関節の痛み・違和感を我慢していませんか?その原因は股関節の形状かもしれません。日本人の女性に多い寛骨臼形成不全と、そこから進行していく変形性股関節症という疾患について、がくさい病院の上島圭一郎先生にお話をうかがいました。
寛骨臼形成不全
股関節は寛骨臼(かんこつきゅう)と大腿骨頭(だいたいこっとう)という骨で構成されています。寛骨臼は骨盤側の骨です。大腿骨頭は太ももの骨である大腿骨の先端にあり、ボールのような形状をしています。寛骨臼のくぼみに大腿骨頭がはまり込むような構造で、股関節を曲げる・伸ばす・ひねるなどの動作に対応しています。寛骨臼と大腿骨頭の表面には軟骨(なんこつ)があり、股関節をスムーズに動かすことに加えて、力が加わった時に衝撃を和らげるクッションのような役割りをしています。
寛骨臼が生まれつき、もしくは発育不良により大腿骨頭に対する覆いが少ない状態を寛骨臼形成不全と呼びます。寛骨臼が小さいことで体重を支える面積も小さくなり、関節軟骨に集中的に負荷がかかってしまいます。寛骨臼形成不全は日本人の男性と比べると女性に多いのが特徴です。
主な原因として変形性股関節症(へんけいせいこかんせつしょう)があげられます。変形性股関節症は軟骨がすり減ることで痛みを生じたり、動かせる範囲(可動域)に制限が出たりする疾患です。寛骨臼形成不全から進行するケースが多く、早ければ30代あたりから、一般的には50~60代で症状があらわれます。
寛骨臼形成不全は骨の形状が大きく関わる疾患です。母親や姉妹、親戚など身内の女性の中で股関節疾患による治療や手術をしている人がいらっしゃったら、もしかするとご自身の股関節にも形状不全がある可能性があります。ご自身の股関節の状態を知るという意味でも一度整形外科に相談されると良いでしょう。
歩行時、立ち上がり・しゃがみ込むような動作時に痛みが出ます。また脚を開きにくい、曲げにくい、関節が硬くて動かないなど可動域の制限が生じるのも特徴です。可動域が制限されると靴下を履く、足の爪を切るといった日常生活も困難になります。日常生活の中で、このような症状が出ている人は整形外科に受診されることをお勧めします。症状が続いていると、股関節をかばうため動かすのをやめてしまう人もいらっしゃいます。しかし、動かないでいると筋力が低下するだけでなく関節がかたまって拘縮(こうしゅく)が生じ、ますます股関節の機能が悪化してしまうことが少なくありません。そうなるとますます動かすのをやめてしまいます。このような悪循環にならないためにも、受診を先延ばしにせず、早いタイミングで専門医に相談することが大切です。
整形外科を受診すると、まずは問診でどのような症状があるのかお聞きします。また身内などで股関節疾患になった人がいるかどうか、日常生活での様子や家族構成などについても確認していきます。次にレントゲン撮影を行い関節の骨の状態を検査します。さらに必要に応じてCT検査やMRI検査、超音波検査を行いながら原因を特定します。
ページの先頭へもどる
PageTop