専門医インタビュー
静岡県
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高齢の方の膝痛の原因として多い変形性膝関節症。色々な治療を試しても痛みが改善しないと悩んでいる方も多いのではないでしょうか。今回は、筋力トレーニングを行うことで、多くの方が手術を回避できるとおっしゃる十全記念病院の小山先生に、変形性膝関節症に効果的な筋力トレーニングについてうかがいました。
変形性膝関節症
代表的な病気は変形性膝関節症ですが、特発性膝骨壊死(とくはつせいひざこつえし)もあります。特発性膝骨壊死はしばらく原因が不明でした。しかし、近年の病理研究の結果、軟骨下骨(なんこつかこつ)と呼ばれる軟骨の下にある骨の骨折が原因だと分かったのです。特発性骨壊死は骨折が原因なので、発症した際は激しい痛みがありますが、2~3か月もすると痛みが和らいできます。しかし骨折の範囲が広いと膝関節が不安定になり、変形性膝関節症に進行することがあります。
加齢、肥満、筋力の低下、膝関節の骨の形態異常、靭帯や半月板の損傷など原因はたくさんあります。変形性膝関節症は、これらの原因により膝の不安定性が生じ、軟骨がすり減る病気です。軟骨がすり減った後に、骨が変形、部分的に増殖して尖ってきます(骨棘)。また、日本人では膝の内側の軟骨がすり減ることが多く、下肢のO脚変形がみられます。男性よりも女性に多いのが特徴ですが、女性の筋力が少ないことも影響していると思われます。早期の変形性膝関節症はレントゲン検査では分かりにくい場合もあり、問診や診察で臨床症状を確認するのにあわせてMRI検査を行います。MRI検査では、傷んだ軟骨の状態、軟骨を栄養する滑膜(かつまく)の状態、膝に水がたまっているかどうか(関節水腫(かんせつすいしゅ))など膝内部の組織の状態を詳細に確認できます。
変形性膝関節症の痛みは大きく分けると二つあります。
一つは動作開始時の痛みであり、椅子から立ち上がる時、階段の昇り降りの時に痛むのが特徴であり、軟骨が欠損した部分で骨と骨がぶつかるからです。もう一つは関節水腫や滑膜の炎症による痛みで、腫れぼったさや安静時の痛みが特徴です。膝に水がたまって腫れているときは無理をしないようにしてください。関節水腫の中には、軟骨を溶かす成分が多くあるとされているので、水腫がおさまってから運動などを再開されたほうが良いでしょう。
変形性膝関節症はガンと異なり生死に直結する病気ではありませんので、どのタイミングでも構いません。早期の段階で受診された場合は、予防を念頭においた治療を重点的に行います。末期の場合、最終的には手術になることもありますが、様々な治療方法を組合せ、その方の希望に沿った治療を行うことができます。受診のタイミングが早い遅いということはないですが、早めに受診することは治療方法の選択肢が広がるというメリットがあると思います。
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