専門医インタビュー
群馬県
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変形性膝関節症と診断され、手術が必要だといわれていても、なかなか決断できずにいる方も少なくありません。「動けなくなる前に考えてほしい」と話す米本由木夫先生に、関節破壊を引き起こす関節リウマチの実態や変形性膝関節症の治療についてお話を伺いました。
変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)とは、いわゆる膝の軟骨がすり減った状態です。本来、軟骨というのはみずみずしく弾力があるのですが、肌と同じように、加齢によってみずみずしさがなくなり、硬くなっていきます。そこに、仕事や運動などによる使い過ぎ、肥満などによって膝に負担がかかり続けると、軟骨がすり減り、骨同士がぶつかり合って関節が変形していきます。関節の内部では滑膜(かつまく)に炎症が起きて水が溜まったり、痛みが出たり、関節の動きが悪くなることもあります。膝の痛みが長引いているとか、可動域(膝の動く範囲)に制限が出ているようなら、一度、整形外科を受診することをお勧めします。
関節リウマチ
関節リウマチは、膝に限らず全身の関節に炎症が起こり、関節の変形だけなく、放置してしまうと心臓や肺なども悪くなり、全身状態が悪化してしまうことがある病気なので、早めに適切な治療を受けることが大切です。関節リウマチの発症は、比較的、中高年女性に多いものの、若い方も例外ではなく、遺伝的な背景に環境的な要因が合わさると発症しやすいといわれています。環境的な要因というのは、ホルモンバランスや細菌・ウイルスによる感染、精神的ストレスなどで、さらに、最近は、歯周病やタバコ(喫煙)といった生活習慣の影響も指摘されています。例えば、親族に関節リウマチの人がいて、なおかつこのような環境的要因が重なるほど、関節リウマチの発症リスクも高まるということは知っておいたほうがいいでしょう。
関節内への注射
特に初期の頃は、必ずしも教科書どおりの症状が現れるとは限りません。何か所かの関節だけ炎症を起こして痛みがあったり、片手だけ腱鞘炎(けんしょうえん)のような症状から始まったりすることもあります。2、3週間、同じ関節が腫(は)れているようなら、関節リウマチの専門医を受診して検査を受けるようにしてください。
関節リウマチの治療は、免疫抑制剤、生物学的製剤、JKA阻害薬(そがいやく)といった強力な薬剤によって関節破壊への進行がかなり抑えられるようになっています。しかし、早期発見の遅れや薬剤の効果が十分に得られずに一度関節が破壊されてしまうと、そこに体重や歩行時の負担が加わり続けるため、強力な薬剤を使っても関節破壊は進んでしまうといわれています。特に、全身の関節の中でも膝は、関節リウマチの炎症が起きやすいといわれています。なお、関節破壊が起きている場合は、関節内への注射や筋力トレーニング、可動域訓練などのリハビリテーション、装具などの保存療法に加えて、人工膝関節置換術などの手術療法が行われることもあります。
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