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専門医インタビュー

いつまでも楽しく歩ける生活を! 痛みをがまんせずに、早めの受診を

佐野 嘉紀 先生
  • 佐野 嘉紀 先生
  • 重工大須病院 医師
  • 052-212-8981

愛知県

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認定資格等:日本整形外科学会専門医
留学:米国Hedley Orthopaedic Institute

この記事の目次

膝や股関節の痛みの原因で最も多いのは、変形性関節症によるものです。治療の選択肢を考えると、「痛みを感じたらすぐに整形外科を受診してほしい」と話す佐野嘉紀先生に、膝関節と股関節の手術療法を中心に詳しく伺いました。

膝の痛みはなぜ起こるのでしょうか?

O脚と正常な脚のイラスト

膝の痛みの原因で最も多いのは、変形性膝関節症によるものです。
変形性膝関節症の原因としては、肥満による負荷や加齢による膝関節周囲の筋力の衰えによって膝関節の軟骨が摩耗し、大腿骨と脛骨という骨同士がぶつかり合うために痛みを感じます。また、O脚だと膝関節のやや内側に荷重が偏るため、軟骨が擦れて変形性膝関節症になりやすいのです。特に日本人にはO脚の人が多いので、変形性膝関節症を発症しやすいといわれています。
その他、膝の痛みの原因として、軟骨を支える軟骨下骨に微細な骨折が起こり、栄養不良によって骨の一部が壊死してしまう骨壊死や自己免疫疾患の関節リウマチ、関節の中にピロリン酸カルシウムという物質がたまり関節炎を引き起こす偽痛風、転倒や外傷による骨折などがあります。

変形性膝関節症の場合、どのような治療法がありますか?

再生医療のイメージ

再生医療のイメージ

治療は主に保存療法と手術療法があります。
膝関節の状態や患者さんの希望にもよりますが、多くの場合、保存療法から始めます。保存療法には、鎮痛剤の服用やヒアルロン酸注射、湿布薬、リハビリとして膝関節周囲の筋力トレーニングなどを行います。さらに、近年は、再生医療の「PRP療法・APS療法を保存的治療として行う場合もあります。PRP療法・APS療法は、患者さん自身の血液中の血小板が持つ成長因子や組織の修復機能を利用して、自己治癒力をサポートする治療法です。ただし、現在のところ保険適用にはなっておらず、自費による治療です。また、当院ではまだ導入していないので、希望される患者さんには近隣の医療機関を紹介し、治療の選択肢を広げています。

股関節の痛みの原因と治療法についても教えてください

股関節インピンジメント症候群(FAI)

股関節インピンジメント
症候群(FAI)

中高年の方の場合、最も多いのは、やはり変形性股関節症による痛みです。原因としては、骨盤側の大腿骨の受け皿部分(臼蓋)が生まれつき浅い「臼蓋形成不全や、股関節の臼蓋(骨盤の受け皿部分)側と大腿骨側がぶつかり合うことで股関節の関節唇損傷を生じる「股関節インピンジメント症候群(FAI)、肥満、オーバーユース(使いすぎ)、関節リウマチ、大腿骨頭の血流悪化によって起こる大腿骨頭壊死などがあります。治療は、変形性膝関節症と同様に、保存療法と手術療法があります

膝と股関節の痛みに関係はあるのでしょうか?

膝関節、股関節は影響し合っていると考えられますから、膝が痛くなると、股関節が痛くなる、あるいはその逆もあるでしょう。膝関節を治療したら股関節の痛みが和らぐということはあると思います。
まずレントゲンを撮って骨の状態を確認し、可動域といって関節の動く範囲や腫れの具合などを確認します。それでわからない場合は、MRIを撮って、軟骨や靭帯などのレントゲンには映らない関節の軟部組織を確認し、痛みの原因を評価します。


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