専門医インタビュー
大阪府
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圧倒的に女性に多く見られる変形性膝関節症。膝の痛みや変形は加齢現象のひとつとはいえ、適切な時期に、適切な治療を受ければ進行を抑えることができるのです。「放置しないで相談してください」と話す、佐野記念病院の鍵山博士先生と吉田クリニックの吉田博一先生にうかがいます。
ひざのしくみ
鍵山 今、女性の2人に1人は90歳まで生きる時代ですが、軟骨や骨などの運動器はそこまで長持ちしないことが多いのです。歳とともに軟骨はすり減り、関節が変形して痛みを生じ、若い頃と同じように動くことができなくなります。これが変形性膝関節症です。この病気は、圧倒的に女性が多いのですが、それはなぜか、はっきりしたことは分かっていません。ただ、女性は筋肉量が少ないということも関係しているのは確かです。
吉田 そのほか、関節リウマチや関節炎、膠原病、骨頭壊死などが原因で、膝関節の痛みが生じる場合があります。また、変形性膝関節症に至る前の段階の、半月板損傷や周辺の筋肉損傷も考えられます。
特に歳をとってくると、半月板は、振り向いたり少し膝を回しただけで、縦割れや横割れができたりすることがあり、本当に些細なことで傷ついてしまうことがあります。
鍵山 初期の段階では、動き初めや、階段を降りる時に膝が痛くなる方が多いですね。進行すると長く歩けなくなり、少し歩いただけでも痛い、階段昇降が極めて困難になって安静にしていても痛いという方もいます。生活に差し障りが出てくる前に、進行を防ぐ積極的な治療が必要です。特に大きな支障がなくても、不具合を感じたら早めに整形外科の専門医を受診したほうがいいでしょう。
吉田 変形性膝関節症の診断は比較的簡単に行うことができます。患者さんの症状の確認に加えて、通常レントゲンで診断出来ます。しかし、半月板はレントゲンには映らないので、異常があるかどうかを確認するには、MRIで撮影し確認する必要があります。半月板が傷ついた場合は、膝を曲げた時などに足の裏を引っ張られるような、変形性膝関節症の痛みとは違う痛みが生じます。
プールの中で膝を伸ばす筋力を鍛える
鍵山 変形性膝関節症は、軟骨がすり減る病気ですが、残念ながらすり減った軟骨は再生できません。できるだけ進行させないのが、治療の目的です。
まず、痛み止めの服薬、湿布、あるいは関節内注射や温熱療法を行い、痛みを取り去ります。しかし、あくまで対症療法になります。
進行を送らせるためには、長期的な体重コントロールと筋力強化が大切になってきます。
膝には体重の5倍の負荷がかかっています。2㎏重くなるだけで関節にかかる負担は10㎏も増え、逆に2㎏減らせば、10Kgも膝の負担が軽くなり痛みも軽減されるのです。
筋力強化は足全体の筋力、中でも膝を伸ばす筋力を鍛えること。症状が軽いうちからの筋力トレーニングで、ある程度進行を抑えることができるはずです。
ただし、トレーニングは長い期間継続しないと意味がありません。トレーニングは単調になりやすいので、プールでどれくらい歩けた!泳げた!など、少し遊びの要素を入れ、モチベーションを維持しながら行ったほうがいいでしょう。
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