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専門医インタビュー

変形性膝関節症は、患者さんのニーズで治療方法が決まる

森 聖 先生

東京都

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平成9年日本大学医学部卒業後、日本大学医学部附属板橋病院研修医へ、平成19年より日本大学助教 医学部勤務(整形外科学)、平成25年4月より博慈会記念総合病院整形外科医長、平成29年4月より現職に。
資格:日本整形外科学会専門医、日本リウマチ学会専門医

この記事の目次

40代、50代を過ぎるころから、膝の痛みに悩む人が増えています。
加齢による膝の痛みは、変形性膝関節症が原因で起こることが多く、潜在的な患者数は約3,000万人(※)にものぼるといわれています。放置していると痛みで歩けなくなるなど、日常生活に支障を来すこともある変形性膝関節症の治療について、地域に密着し、多くの患者さんの診療にあたっている博慈会記念総合病院整形外科部長の森 聖先生にうかがいました。
※出展:厚生労働省「介護予防の推進に向けた運動器疾患対策について 報告書」
    平成20年7月 介護予防の推進に向けた運動器疾患対策に関する検討会

膝が痛くなるのは、加齢が原因ですか?

変形性膝関節症のレントゲン

変形性膝関節症のレントゲン

ある程度の年齢になって起こる膝の痛みの原因は、多くが変形性膝関節症と言っていいでしょう。
変形性膝関節症は、長い間、膝に負担がかかることで、クッションの役割をしている軟骨がすり減り、骨の変形や骨同士がぶつかり合うことで膝関節に炎症が起こるために痛みを感じる病気です。
年をとっても変形性膝関節症になる人とならない人がいて、はっきりとした原因はわかっていません。ただ、肥満や正座など物理的に長期間膝に負担がかかっている、ケガをしたことがある、もともとO脚であるといった場合や、変形性股関節症や脊椎側湾症のように、股関節や背骨に問題があって足の長さが違う状況で長年過ごしてきたという方は、膝の変形が起こりやすいと言えると思います。
年齢的には、40 歳くらいから膝の痛みを感じる人が増えてきます。ただし、関節リウマチが原因で膝痛が起こることもあります。
また、60 代くらいまでの比較的若い方の場合は、変形性膝関節症の初期のこともありますが、膝でクッションの役割を果たす半月板のすり減りによる「半月板損傷」や、膝関節の腱やじん帯の炎症が原因で起こる膝痛も少なくありません。

変形性膝関節症になると、どんな症状があらわれますか?

膝関節(正常、O脚とX脚)

膝関節(正常、O脚とX脚)

変形性膝関節症は、始めのころは安静にしていると痛みが収まることがあります。しかし、軟骨がすり減り、骨の変形が進み、膝関節がO脚やX脚に変形すると、歩くたびに痛みを感じたり、膝の関節を包んでいる滑膜という薄い膜に炎症が起こると、水が溜まって膝が腫れ、安静にしていても痛みが収まらなくなったり、日常生活に困るような症状があらわれてきます。
そこまで進むと膝のかたちや歩き方など、見た目で変形性膝関節症とわかるようになります。
変形性膝関節症の診断は、まず、足や膝のどこが痛むのかをよく聞き、膝の変形具合や骨の出っ張り、関節に水がたまっているかといったことを診察します。
次に、横に寝た状態と立った状態、場合によっては膝を少し曲げた状態で体重をかけてレントゲンを撮り、膝軟骨のすり減りや骨の状態を確認します。
診断する際に特に大切なことは、患者さんが痛みを訴える場所と変形の部位が一致するかどうかです。それは、変形性膝関節症の初期の場合は、痛みの原因が関節内部ではなく、関節まわりのじん帯や腱が原因で起きていることがあるからです。
痛みの原因を見誤ると、その後の治療がうまくいかなくなることがありますので、レントゲン画像、診察所見、患者さんの訴えを総合して診断しています。
関節リウマチの場合もレントゲンと血液検査、診察で診断します。レントゲンを撮っても特に異常がないのに痛みがあるという場合は、MRI(磁気共鳴画像)を撮って判断しています。


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