人工膝関節は痛みを取り除く最終手段

関節リウマチのほかは、ほとんどは加齢によるもの

関節リウマチのイメージ

関節リウマチによる関節の変形・破壊の場合を除けば、膝の痛みを起こしている疾患は、 多くが変形性膝関節症と言われるものです。
加齢、もしくは過去に外傷 で靭帯を傷めてしまったことがある場合などが原因で、軟骨がすり減ってしまったために、 直接骨と骨が当たって痛みが出てくると思われます。
肥満の関与も言われていますが、物理的な重さだけが関節変形の原因でなく、脂肪細胞が 炎症を引き起こすという説もあります。
変形性膝関節症は女性の方が圧倒的に多いのは確かですが、誰がなるか予想できない、つ まり年を取るにつれて誰にでも起こる可能性がある疾患です。

膝に負担がかかる姿勢をとった時に痛い

変形性膝関節症のレントゲン

多くの患者さんを見ていると、しゃがみこめなくなった、正座をしづらくなった、膝に負担がかかるような姿勢を とった時に痛みが出るというのが最初の症状のようです。
よく言われているのが、歩き始める時に痛いという症状ですが、その前に膝が曲げにくい、腫れている感じがする、何か変だと気付くようです。
実は、変形性膝関節症には診断基準がありません。どうなったら変形性膝関節症なのかは明確ではないということですが、レントゲンで膝の状態を見ることが一つの診断の助けになります。
膝の骨と骨の間に軟骨がありますが、レントゲンでは軟骨は映りませんから、隙間があいているように見えます。
変形性膝関節症でも関節リウマチでも、軟骨がすり減ってくるとレントゲンでこの隙間が狭くなり、進行すると最終的には骨と骨がひっついているように見えます。軟骨がすり減っているために、痛みが出ているということが分かります。

変形性膝関節症と診断された場合の治療法は？

靴の中敷きを用いて外側を持ち上げる

整形外科で行うのは、まず薬物療法などの保存療法を行います。残念ながら、失われた軟骨を増やすことはできま せんから、痛み止めの飲み薬と貼り薬が薬物療法の中心になります。
また、ヒアルロン酸を膝に直接注射する治療法がありますが、これには軟骨を保護する作用、炎症を抑える効果があると言われています。 もう一つの方法が装具療法です。変形性膝関節症はＯ脚になる方が多くみられます。Ｏ脚になると体重が膝の内側に集中してかかるようになり、さらに内側が痛くなってしまいます。
それを防ぐために、特殊な靴の中敷きを用いて足の外側を持ち上げるようにすると、膝の内側にかかる体重を逃がすことができます。膝の一部分にかかる負担を幾分減らすことができるのです。 また膝を支えている筋肉が少ないと膝に直接負担がかかり、痛みが増します。痛いと動くのが億劫になり、動かないでいると関節が硬くなってなおさら動きづらくなります。
膝を支える筋肉が衰えないようにするために、適度な運動も必要です。しかし、トレーニングをしても、筋肉はすぐにできるわけではありません。 今ある筋肉を維持するだけでも、大いに意味があります。
例えば、椅子に腰掛けて膝をまっすぐ伸ばすだけでも、大腿四頭筋を鍛える運動になります。 しかし痛みを我慢してトレーニングすることは逆効果です。 痛みがある、動かしづらい時は無理をせずに膝を温めてください。
温めると関節が柔らかくなりますから、風呂あがりに関節を曲げ伸ばしする運動を続けることを勧めます。これは、自分でできるリハビリの一つです。