専門医インタビュー
兵庫県
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日本で膝痛に悩む人は2000万人以上にのぼると言われています。高齢になるほど悩む人も増えますが、「もう歳だから仕方ない」と痛みを我慢したり、治療をあきらめたりしていませんか? そこで「適正な診断と治療をすれば必ず良くなりますよ」と話す、神戸・あんしん病院(旧あんしんクリニック)院長の水野清典医師に、膝の痛みの原因や治療法について伺いました。
膝の痛みの原因は様々ですが、激しいスポーツや日常生活でのオーバーユース=使いすぎによるものが多く見られます。若い方は激しいスポーツなどでの「半月板損傷」、高齢の方だと軟骨がすり減るなどして痛みが出る「変形性膝関節症」の方が多いです。膝の骨の表面は軟骨で覆われており、骨同士が直接触れあわないようになっていますが、年齢を重ねて軟骨がすり減ると、骨同士が当たるなどして痛みが出るようになります。軟骨や靭帯はレントゲンには写らないので、正確に診断するためにはMRI検査が必要です。また靭帯の損傷は、超音波(エコー)検査でも診断することができます。
筋肉痛や打撲の場合は2週間ほどで痛みは引きますが、それ以上膝に痛みや違和感を覚えるようであれば、必ず医師に相談してください。特に高齢者の方は我慢せず、早めの受診をすることが大切です。下記リンク先のセルフチェックを参考にされるとよいでしょう。
痛みの症状や患者さんの年齢により、治療方針は大きく変わってきます。また、同じように膝関節が痛くても、どのような生活がしたいかによっても異なります。普段の日常生活を静かに送るだけなら、リハビリや飲み薬で治療は可能かもしれません。
手術室の様子
「半月板損傷」の場合はリハビリや抗炎症剤、鎮痛剤の処方などを行い、それでも改善しない場合は内視鏡を使った関節鏡視下手術を行います。具体的には、5mm程度に小さく皮膚を切って関節の中にカメラを入れ、関節の中を調べたり、治療したりします。例えば膝の関節の中には半月板というクッションが挟まっています。この半月板が割れて膝が痛くなることがありますが、関節鏡で縫い合わせたり、部分的に切り取って形を整えたりして、日帰りで治療することができます。関節鏡は股関節の治療にも使われています。関節唇損傷や石灰沈着症などは関節鏡で治療することができます。
「変形性膝関節症」など軟骨損傷の場合も、まず消炎鎮痛剤による薬物治療やヒアルロン酸注射、膝まわりの筋肉を鍛える筋力トレーニング、専用の装具を使った装具療法などの「保存的療法」を行います。この段階で症状が和らぐ方も多くいらっしゃいます。
ヒアルロン酸には、関節の中の炎症を抑える働きがあります。また、摩擦を軽減する働きがあり、関節のスムーズな動きを助ける潤滑作用があります。ただし、効果があるのは関節に直接注射した場合で、しかも効果が緩やかなので、繰り返し何度も注射することで、少しずつ効いてきます。
筋肉トレーニングは血流を良くし、痛んだ軟骨の修復を助けると言われています。
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