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専門医インタビュー

加齢とともに感じる膝の痛み。我慢をせずに専門医へ相談しよう

東 裕隆 先生

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1992年北海道大学医学部卒業後、市立札幌病院救急部、北海道大学医学部整形外科医局などを経て、市立札幌病院整形外科副医長に。2007年桑園整形外科を開院。日本整形外科学会認定整形外科専門医。

この記事の目次

超高齢化社会を迎えた昨今。加齢とともに低下していく体の運動機能を維持することが、健康的な日々を送るための重要課題となっています。中でも膝の疾患に悩まされている高齢者は多いといわれています。そこで今回は、膝の疾患とその治療法などについて、桑園整形外科理事長・院長の東裕隆先生に話を聞きました。

年齢を重ねると「膝が痛い」という人が多いと聞きますが?

膝疾患を抱える人は、男女問わず年齢が高くなるとともに増加しています。現在、50歳以上の国民で、レントゲン所見上、変形性膝関節症にかかっている人は2,400万人で、これは2人に1人の割合といわれています。さらに、痛みを有する患者は820万人で、割合に直すと6人に1人、特に女性が多く、男性の1・5〜2倍の数となっています(2007年 東京大学医学部22世紀医療センター発表)。女性が多い理由は、ホルモンの関係などがあるのではと言われています。また、欧米諸国に比べると日本人の膝疾患は多く、これは正座やしゃがむといった膝に負荷をかける動作が多い生活習慣の差にあると思われます。厚生労働省の2004年度国民生活調査によると、要介護となる原因の6.1%が関節症で第4位、また要支援の原因としては関節症が疾病の中では最も多い17.5%を占めています。このことからも、高齢者の方たちの自立した生活を維持するために、変形性膝関節症の予防が重要と言えます。


変形性膝関節症について詳しく教えてください。

変形性膝関節症

膝の構造は、大腿骨(太ももの骨)、脛骨(すねの骨)、膝蓋骨(お皿)の3つの骨が組み合わさってできています。すねの骨の上を太ももの骨が滑り転がることによって曲げ伸ばしができるのですが、クッション性のある柔らかな関節軟骨が骨を覆っているほか、3つの骨の間には関節液があり、これらがスムーズな膝の動きを可能にしています。また、大腿骨と脛骨の間にある半月板も関節の衝撃を吸収しています。
膝関節は長年使っていると、軟骨や半月板がすり減ります。加齢などに伴い軟骨も十分に再生されなくなると、更に軟骨の下の骨も擦り減ってきます。そして関節の表面がデコボコに変形し、滑らかな動きが障害されて、生じた炎症から痛みを出すのが変形性膝関節症です。


変形性関節症の軟骨

変形性関節症の軟骨

変形性関節症の軟骨

正常な軟骨

変形性膝関節症の誘因は、加齢、肥満、筋肉の衰え、肉体労働、もともとのO脚・X脚、体質や遺伝、スポーツなどによる膝への負担、膝周辺の外傷、足に合わない靴やハイヒールをはき続けるなどが挙げられます。
一般的に日本人にはO脚が多く、変形性膝関節症の主な原因は膝の内側からの荷重です。日本人には、すねの骨が内側にわん曲する傾向があり、体重のかかり方から内側の軟骨ばかりが減りやすく、内側の軟骨が擦り減ると、さらに内側に体重がかかりやすくなり、O脚変形が強くなっていくのが特徴です。


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